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より良い学生生活とは何か?

こんにちは、atteyaaのマツイです。

より良い学生生活とは何か?

今日はこんな問いから始めていきたいと思います。

「良い学生生活」と問われても、なかなかに難しいですね。
どういう尺度で考えるかによって回答は変わるように思います。

私自身の学生生活(20年以上前)を振り返ると
良い学生生活だったかと聞かれるとちょっと自信はありませんが
まあそれなりに充実していたような、そんな気でいました。
少なくとも「とあることを調べるまで」は・・・。

新入社員の早期離職や若手社員のメンタル不全など
社会へ飛び出した若者たちが思うように活躍できていない現状があります。

そもそもなぜそんなことになるのか?
少しこのあたりを探索してみようとこれらの理由を調べていくうちに
下記の論文に出会いました。

キャンパスライフに埋め込まれた学習
-何が,社会人としての適応をもたらすのか?-
(豊田 義博 リクルート ワークス研究所・主幹研究員)

筆者は研究対象がそこそこの偏差値(60台)で特定の大学1校であるため
過度な一般化は控えなければいけないとしつつも
非常に興味深い内容で、より良い学生生活とは何か?という問いに
向き合うには多くの示唆、考察の観点を与えてくれています。

以下、本論文の要旨を紹介します。

新人・若手の初期適応と、キャンパスライフでの学習の関係を、
特定大学卒業生へのインタビューによって探索した。
初期適応者と不適応者では、キャンパスライフでの主要項目への
注力状況には大きな差はないが、「PDSサイクル」「異なる価値観
受容」「挫折・葛藤」などの学習結果に大きな差が見られた。

キャンパスライフに埋め込まれた学習
-何が、社会人としての適応をもたらすのか?-
(豊田 義博 リクルート ワークス研究所・主幹研究員)

本研究の詳細をお伝えするのが趣旨ではありませんので
細かな説明は割愛し、私なりの言葉でこの研究の概要と
そこで観察されたことを説明させていただきます。

元気に社会へと飛び立った若者たち、
様々なリアリティショックと向き合いつつ
社会に適応できた者(適応)と適応できなかった者(不適応)がいる
この要因は社会に参画する前、すなわち学生時代に組み込まれているのではないか?
その視点から初期適応者15名、初期不適応者17名、合計32名に対して
それぞれのキャンパスライフについてのインタビューを実施
すると学生時代に何を学んだのか?という13の学習項目のうち
前述の3つ「PDSサイクル」「異なる価値観受容」「挫折・葛藤」
この3つにおいて適応者と不適応者で優位な差が見られた

これが大まかな研究内容とその結果です。

で、注目したいのは当然
「PDSサイクル」「異なる価値観受容」「挫折・葛藤」です。

PDS サイクル:自身が主体者として計画・実行・検証を繰り返し行う。
学園祭などのイベントや大きなプロジェクトではなく、アルバイトで
売り場を任され、商品の仕入れなどを試行錯誤して行ったり、
ちょっとした企画を何度か継続的に実施するような性質のもの。

異なる価値観受容:出会ったことがないタイプの友人・先輩、
学外の大学生、社会人など、自身と異なる人々と交流する、
あるいはそうした人々が多くいる集団に帰属する。

挫折・葛藤:自身の思い通りにならず、諦めたり思い悩んだりする。

キャンパスライフに埋め込まれた学習
-何が、社会人としての適応をもたらすのか?-
(豊田 義博 リクルート ワークス研究所・主幹研究員)

適応者は、キャンパスライフの中で「異なる価値観」を持つ人、
あるいは集団との関与というストレスのかかる環境に身をおき、
「PDS サイクル」をまわし、「試練・修行」に耐えながら、
試行錯誤を繰り返す。そこには「挫折・葛藤」があり、
敬服すべき先人からの「洗礼」や自身の無力さを知る「敗北」がともなう。
そして、彼らはそのなかで自己を相対化し、
自身の「志向・適性の発見」を通じて自己を形成している。(豊田,2011)

一方、不適応者はどうかというと、
濃密な同質の関係性を好み(本人がそうでないと思っていても傍から見ればそう見える)、
PDSに取り組んでいるように見えても
グループ活動の一部分で自分自身の意思決定がされてなかったり、
パッケージ、マニュアル化されたものがほとんどなケースが多い。
また、発言内容から明らかな挫折であるにも関わらず
自分自身の問題とせず環境や他者、
すなわち他責ぐせがあり「挫折・葛藤」を回避する傾向がある。(豊田,2011)

なるほど。めちゃくちゃ腹落ちです。
そして冒頭のフリに戻ってきます。

不適応者、俺やん!!!

私の学生時代、そこそこ充実していたと思っていましたが、
特定の濃密集団に帰属し、
何か失敗すればPDSなんてどこ吹く風、次のうまくできそうな何かを探し、
挫折と葛藤の連続であったはずの体験を、したたかに嘯き(うそぶき)
ああ、そっか。私の学生生活は良くなかったんだな。
寂しくなると同時になぜか爽やかに得心がいったのです。

実は私、初期不適応者で社会人初期の頃はめちゃくちゃ苦戦しました。
そこからレジリエンスを獲得する過程はまさに
「PDSサイクル」
「異なる価値観受容」
「挫折・葛藤」
この3つの学習だったなと感じます。

私が初期不適応者だった理由、
それは良い学生生活を送らなかったから。

ああ、清々しいです。

皆さん、良い学生生活を送って下さいね。
もう手遅れだよ!という方は、ぜひ上記の観点でライジングしてみて下さい。

読んでくれてありがとうございます。

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