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初任給から考察、「メンバーシップとオーナーシップ」

こんにちは、atteyaaのマツイです。

今日はタイトルのようなことを書いてみたいと思います。

先日、2人の学生とお話する機会をもらいました。
いろいろとお話する中で印象的だったのが「家業に就職する」というお話でした。

一人の学生(A君とします)がこう言ったんです。

私:「A君は就職しないの?」
A:「はい、家業(農業)を手伝うつもりです。」
私:「なんで?」
A:「企業を見てると初任給が20万円とかめっちゃ少ないなと思いました。家業はもっともらえるので。」

どうでしょう。
A君、何を甘いこと言ってるんだ!
って思いましたか?

はい、私はそう思いました!ww

家業があるという恵まれた環境
一般的な初任給である20万円ちょっとの価値
A君はそれを分かった上で話しているのか?

とかとか思っちゃったんです。
この感情が2秒くらい。
その後すぐ思い直したんです。

たしかに、20万円ちょっとってどうなんだろ?
20万ちょっとが初任給として妥当だと誰が決めたんだろ?

A君が家業で20万円以上もらえるのは
単純に家業の業績がいいからでしょうか?
それとも別の理由でしょうか?

どちらの理由もあるんじゃないかと思います。
そして業績とは別の理由、
ここに何か思考のヒントがあると感じました。

A君のご実家の家業は(以下、家業)、
業績の詳細については分かりませんが
20万円以上のそこそこの給与をA君に払う余力がある。
ということは分かりました。

では、
家業はA君の何に一般的な初任給以上のお金を払うのでしょうか?

能力でしょうか、
経験でしょうか、
きっと違いますよね。
ポテンシャルや伸び代、
もっと言えば家業ですから
きっと頑張ってくれるはずだ
簡単には辞めないし、弱音も吐かないだろう、
というようなコミットメント度合い(当事者意識)
そういうものに期待を込めて投資をしているのかもしれません。

期待とそれに対する投資。
これが初任給(給与)を構成する犯人(要素)だとすれば
他の一般企業も家業と同じことができるのではないでしょうか。

ここで雇用制度の話をしたいと思います。

メンバーシップ型雇用という言葉があります。
企業や組織のメンバーとして加わり(雇用され)
その後のキャリアは配置転換や異動など会社に委ねる
まさに組織の1メンバーとなるイメージの強い日本的な雇用制度です。
(詳しくはググってみて下さい)

ここ数年このメンバーシップ型雇用が
日本のこれからの雇用制度として相応しくないのではないか?
そんなことが議論され始めています。
そこで登場しメンバーシップ型雇用の対とされているのが
ジョブ型雇用というものです。

ジョブ型は仕事内容や責任、
その他諸条件を明確にし雇用契約を結びます。
仕事に人を付ける制度で、配置転換や異動は基本的にはないそうです。
世界ではこのジョブ型雇用が主流とされています。

メンバーシップ型雇用に代わる制度、対抗馬がジョブ型?
これに少し違和感を覚える方はいないでしょうか。

私は「比較する要素が違うのではないか?」という疑問を持ちました。

メンバーシップとは組織やチームに関わるマインドやスタンスの問題です。
一方、ジョブ型は仕事の割り当て方、戦略や契約の問題です。
マインドとスタンス、この対抗馬に戦略や契約の話です。
ちぐはぐな印象がどうしても拭えず、この話題の時流に乗れない私がいます。

ここからは私見ですが、メンバーシップ型雇用の課題は以下の2つだと考えます。

成長の鈍化が著しい日本企業において
1.個人が組織にキャリアや報酬を委ねることの危機感
2.個人が組織に依存しすぎることによる組織(企業)の弱体化

メンバーシップというスタンス自体は悪ではありませんが
それに過剰に、そして長くに渡って馴染んでしまうと
そのチーム(企業)に対する主体性、当事者意識が
知らず識らずのうちに薄れてしまいます。

仕事内容は会社が決める。報酬は会社が決める。
これを当たり前だと思い込むと自分自身のキャリア、
すなわち人生を手放すことに繋がります。

また、企業はそんな社員が増えてしまうと
福利厚生の充実や労働条件の緩和など
そんなメンバーを守るための施策に傾倒し
攻めの戦略にエネルギーを注げなくなります。

停滞する日本経済において
メンバーシップマインドを持った社会人を量産することは危険です。
「誰かが何かしてくれるだろう」
他力本願、事なかれ主義、
そんな人たちが大量に生まれる仕組みがメンバーシップ型雇用には内包されています。

そんなマインドにジョブ型もクソもないでしょ?
まずマインドチェンジでしょ!
というのが私(私たち)の理論です。

メンバーシップに代わるもの
それは「オーナーシップ」ではないでしょうか?

オーナーシップとは、
主体的に当事者意識を持って、所有者として関わることです。

この説明を見て「ん?」と感じた方、正解です。
先ほどのA君の話です。

家業はA君の
ポテンシャルや伸び代、
コミットメント度合い(当事者意識)
これらに対して期待し
一般的な初任給以上のお金を投資するのだ
と書きました。

ここではコミットメント度合いと表現しましたが
オーナーシップと同じ意味合いで使っています。

そうなんです。
家業はA君がオーナーシップを発揮してくれることが
ある程度担保できるから給料を払えるのです。

こう考えると一つの可能性(仮説)が見えてきます。
一般企業においても学生(若者)のオーナーシップ度合いを測ることができれば
その期待においてもっと投資することができるのではないか?

多くの企業が設定する初任給20数万円、
これは年功序列や終身雇用、
メンバーシップ制度を支える仕組みの一つとして
各社が「最初はこれくらいが妥当だろう」と設定しているに過ぎません。

A君が感じた「20万円は安い」という感覚は
もしかすると今の時代背景からすれば正しいのかもしれません。

オーナーシップを発揮してくれる人材は
企業ひいては社会が待ち望んでいる存在のはずです。

であれば、企業はメンバーシップからオーナーシップへ
制度移行しなくてはいけません。

社員はどんなオーナーシップを発揮してくれるのか?
そして会社はそれに対してどれだけ投資するのか?
そんな仕組みと風土作り、その構築が急がれます。
ジョブ型とかはその後です!

えっ?
専門職や技術職は難しい?
未経験者を戦力にするのに時間がかかる?
最初は20万くらいが妥当?

はい、それメンバーシップ的発想です!

A君、曇りないピュアな意見をありがとう。

読んでくれてありがとうございます。

PS
弊社の人事制度は「オーナーシップ制度」といいます。
宣伝ぽくなりましたね。すみません。m(_ _)m

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