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バカだったアイツの年収(シリーズ:就職氷河期)

タイトルが挑発的ですが、
これは、学生さんへの切実なメッセージです。

キャリアって色々だよ!
いろんな道があって、可能性に満ちてるよ!
ってことを伝えたい。
そんな記事です。念のため。

就職氷河期世代の話です。

この物語の主人公A君、彼は端的に言うとバカです。(笑)
もう少し正確に言うと、バカでした。
たぶん、過去形のはずです。

本当に頭が悪いというのではなく
勉強をしてこなかった人種です。
ただし、コミュ力がめちゃくちゃ高い。
誰とでも仲良くなる能力を持っています。
なので、近づきすぎて嫌われることも多々あります。
そんな奴、まわりに一人くらいいたでしょ?(笑)

そんな彼、
偏差値の高くない高校を卒業し、
偏差値の高くない大学に一浪で入学し、
ただひたすらに遊んで過ごしました。

2001年3月、卒業。

時は就職氷河期です。
そんな彼を向かい入れる会社はありません。
(そういう時代でした。)

いや、時代に媚びへつらえば、
何かしら会社は見つかったかもしれない。
たくさんの会社を回ってれば、
そのうち何をしてるかわからない
謎な会社に拾われたかもです。

実際、この時に探偵事務所に就職した同期がいます。
今でこそ、探偵事務所って仕事として増えてる感がありますが
この頃は怪しさMaxでした。
「おいおい、アイツ無事か?」
まわりはそんな感じです。

でも、A君にも自負がある。
俺は勉強はできないが、
今まで何とかやれてきた。

時代に媚びてたまるかよ!

俺はもっと可能性に満ちてるんだ!
大器晩成なんだ!と。

この時代の若者にはとても多い感覚でした。
私なんかもそのタイプです。

大人が勝手に作った失われた10年。
そして告げられた、就職氷河期。
なんじゃそれ?
なめんなよ!
若者が全滅でもするっていうのか?

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%B1%E8%81%B7%E6%B0%B7%E6%B2%B3%E6%9C%9F

( ↑ 就職氷河期について)

大事なのは反骨精神だと思ってました。

それを失うと、
今という時代に、
誰も責任を負わないそんな不確かなモノに
自分を否定される気がしてたんです。

さて、A君。
結局就職できずにフリーターでキャリアをスタートです。
カラオケと漫画喫茶がメインのアルバイト先です。
そこで社員になりたいわけでもない。
そういう意味では、小遣い稼ぎとしての仕事です。

でも、職場がカラオケ、漫画喫茶。
遊び場所ですから、当然仲間が来てくれます。
(この頃は、多くの若者が似たような生活してたと思います。)

私もよく漫画喫茶に通いました。
この頃の漫画喫茶、今のようにチェーン展開されていなくって
漫画喫茶の存在がとても真新しく、
新しいカルチャーとして台頭しつつありました。
料理のメニューも豊富でした。
作ってくれるのはバカなA君ですけど。(笑)

余談ですけど、
この頃から徐々に喫茶店の業態変容が始まった感じです。

おいしいコーヒーと場の作り方に特化したのがスタバ、
新聞や漫画や雑誌を読む場所として特化したのが漫画喫茶です。

その後、スタバを代表するシアトル系コーヒーは世界を席巻、
漫画喫茶は業態を更に進化させ、
個室や宿泊を伴うスタイルになりネットカフェとして進化し、
終電後のセーフティーネットとして多くの日本のサラリーマンや
若者を救うようになります。(日本独自の文化ですね。)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%AB%E7%B3%BB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%92%E3%83%BC

( ↑ シアトル系コーヒー)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BC%AB%E7%94%BB%E5%96%AB%E8%8C%B6

( ↑ 漫画喫茶)

話を戻します。
同じような仲間がこの世代にはたくさんいました。

  • フリーター
  • 自分探し
  • 夢追い人

言葉は色々でも、残念ながら見え方は同じです。(笑)
なので、
A君は自分探しをしているふりをして、
夢を追ってるふりをして過ごしました。
疎外感は不思議とありません。

そして4年。

30歳が近づきます。

好きな女性にも何度かフラれました。(笑)
経済力がないからなかなかお付き合いも続かないし、
ちゃんと就職している男に負けたりする。

これはけっこう自尊心が傷つきます。

ヤバいぞということで、30歳手前で就活を再開。
この時は徐々に景気が良くなってきてたんですね。
(俗にいう「いざなみ景気」です。)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC14%E5%BE%AA%E7%92%B0

結果的に、A君は就職しました。
この世代の青年はこの時期に定職についた人、けっこう多いんですが
いまだに「就職氷河期世代の支援」として国から予算が出たりしています。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shushoku_hyogaki_shien/index.html

これは感謝なのか?
いやいや、するかよ!(反骨精神が大事ですからw)

そしてA君の今、42歳です。
年収を発表します。

はい、650万!!(ドン!!!)

どうですか?普通ですか?
単位はもちろん円です。(笑)
ドン!!!って書いてますけど、
そのドン(ベトナム通貨)ではないです。

実は、これって、けっこういい。

https://doda.jp/guide/heikin/age/

(平均年収 パーソルキャリア調べ)
40代の平均年収はこの記事では507万。
色々統計はありますが、
だいたい450~500万くらいですかね。

ね、そう考えると悪くない。
てか、良い。

あの、バカだったヤツが、
寄り道をしたように見えますけど(実際してる)、
収入面では一発逆転してるわけです。
(今回は仕事のやりがいとか、そういった話は抜きですよ。)

じゃあ、どんな会社に入ったのか?
大手企業か?有名企業か?
ITベンチャーか?ニッチナンバー1か?

すべてハズレ、違います。
学生は、絶対に名前を知らないし、
そういった業界を想像することすらないでしょう。

A君が入社したのは、

無名の包装紙や梱包材を作るメーカーです。

地味で目立たないかもしれない。
だからこそ、新卒採用では好んで見ないかもしれない。
ただ、条件(給与面)は悪くないし、
確実に社会に貢献していると実感できる仕事。

就活で、学生は分かりやすいもの(会社や業界)を選ぶ。
でも、その分かりやすい会社が本当に自分に合ってるかどうかは別だし、
それに気付くのは案外難しい。

でも焦ることはないってこと。

たしかに、新卒のときに見つけることができれば素晴らしいけど、
遅すぎるなんてことは絶対ない。
案外、いい会社(いろんな観点で)はたくさんある。

以下、蛇足ですけど、
A君、取引先の女性と結婚して、
現在は2児のパパ。

持ち前のコミュニケーション能力を活かして
現在は副業とかにもチャレンジしてるみたいです。

そしてそのベースとして、
カラオケや漫画喫茶での経験が活きているはずです。

大事なのは、

  • 焦らないこと
  • 人生やキャリアは花形や王道(ある種の成功パターン)はないってこと

ではないかと思うわけです。

ということで、
バカだったアイツの今の年収は、650万でした。(笑)

読んでくれてありがとう。

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