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リアリティショック(入社後ギャップのなぜ)

こんにちは、atteyaaのマツイです。

今日はリアリティショックについて書いてみます。

これは新しい命題ではないようで
古くから多くの研究がなされています。
せっかくなので、それぞれの概要も見ておきましょう。

リアリティショックの定義

高い期待と実際の職務での失望させるような経験との衝突

Hall (1976)

個人が仕事に就く際の期待・現実感のギャップ

Schein (1978)

組織に参加する前に形成された期待と正式な組織構成員となった後の個人の認識の間の相違

Dean (1983)

個人の組織構成員になる前の期待と組織の構成員になったあとに形成された期待の間に生じる不一致

Dean, Ferris and Konstans (1988)

新しくなればなるほど、文字の量が肉厚になっていますけど
要は「入社前の期待と入社後の現実、これらのギャップ」ですね。

このリアリティショックがあることで
早期退職につながったり
パフォーマンスの発揮に影響したり
メンタル不全になったり
本人にとっても組織にとっても
なんとも都合が悪いことが起こってしまいます。

なので、みんながなんとかしたいはずなのです。

では、なぜリアリティショックは起こるのでしょうか?

こちらについても調べれば興味深い論文など出てきそうですが
ここはカジュアルに我々の暗黙知を提示しておきます。
とはいえ、この巷の暗黙知を形式化、構造化するのが学問(論文)ですから
我々の理論(暗黙知)も重要なデータの一つなのです。

以下の2つに集約されると考えます。

  • 企業側の情報開示不足
  • 求職者側の情報理解不足

そしてもう少し踏み込んで考えると
より致命的なのは「求職者側の情報理解不足」だと言えます。

求職者側の「情報不足」ではなく、
「情報理解不足」としていることにも関連します。

そうなのです。
今の時代、情報は溢れていますから情報不足なんてことはありません。
ただ、多くの求職者が
理解できていない、
咀嚼できていない、
自分に取り込めていない、
そういうことが起こっているのです。

その原因が一次情報の少なさです。
一次情報とはその情報の情報源が自分であるということです。
他にも二次情報、三次情報なんて表現があります。
情報の正確性や希少性が問われるマーケティングの世界でよく使われます。

二次情報は、人から聞いたこと
三次情報は、情報源不明

簡単にいうとこんな感じです。

企業の情報開示も友人・知人のアドバイスも二次情報です。
SNSや動画投稿サイトの情報なんかは二次情報と三次情報が入り混じっています。

情報はたくさんあるけれど
ほとんどが二次情報や三次情報のため
自分がどう感じるかという意味では正確性に欠けるし
そういう意味ではその手の情報を多く集めても
自分にとって希少性はないのだと思います。

●●という映画はとても面白い!
こんなSNSの投稿を見て、
知人からも「確かに●●は面白い、ぜひ見てみ!」と言われ
実際に映画館へ足を運んでみたら思っていたのと違った・・・。
「なんだよ、全然面白くないじゃん・・・」って。

リアリティショックを単純化するとこれと大差ありません。

この例のようなケースは
映画をたくさん見て(一次情報を増やす)、自分が好きな映画を知る。
そのうえで、自分にとって有益な確かな情報源を選ぶ。
(二次情報と三次情報の選別)
こんなところで防ぐことができそうです。

就職のリアリティショックの場合も同様で
一次情報を増やすことがキモなのですが
ここで「企業側の情報開示不足」が露呈します。
ほとんどの企業はCMや広報、説明会による説明、社員との対話の場など
積極的に情報は開示していますが、
これらすべてが二次情報なのです。

求職者が自分で情報を取得し、取り込める場、
一次情報を取得できる機会が少ないのです。

インターンなんかはこの一次情報を得る機会として設けられたのですが
選考の一部となってしまっているところも多く
その場合は加工された情報(二次情報)になってしまっていると感じます。

なので、求職者に積極的な情報開示を目指す企業は
体験の場、リアルに触れる場、そんな一次情報を提供する。
これを目指していただきたいと思います。

さて、いろいろと書いてきましたが
やはりキモは「求職者側の情報理解」です。
まだまだ一次情報に触れる機会は少ないかもしれませんが
積極的にそういう場を求めてみてください。
そんな機会が少なくても、信用できる情報源を使って
一次情報に近しい経験や情報を入手するようにしてみて下さい。

求職者側の情報理解力が高まれば
企業側の情報開示不足は取るに足らない問題になります。
なぜなら、知りたい情報を聞けるようになるし、
開示されないことの意味も想像できるようになります。
映画をたくさん見れば、
「ああ、この展開はあれに似てるな〜」とか
「この手の話ならあの映画の方がいいね!」とか
一次情報で比較ができるようになりますよね。
そんな感覚です。

それでもリアリティショックは100%は防げません。

でも、映画と違って就職は消費活動ではありません。
見て終わり、使って終わりではなく
その日から自分もその組織で生産活動をするわけです。
当事者として関われるわけですから
多少のギャップであれば、
そのギャップを埋めるために活動してみるのも悪くないと思います。

リアリティショックは予防するのではなく
必ずあるものだと覚悟して緩和するために一次情報にアクセスする。
どの程度のギャップなら許容可能か?ということを意識し
価値ある情報に触れ続けることが大事ではないでしょうか。

読んでくれてありがとうございます。

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